難民問題が深刻化している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争や迫害で故郷を追われた人が2022年に史上初めて1億人を超えた。世界銀行の最も重要な報告書である「世界開発報告書」は、難民問題を23年のテーマとした。
難民の多くは途上国から途上国への難民である。UNHCRの推計によると22年末時点の難民の出身国は、シリア、ウクライナ、アフガニスタン、ベネズエラ、南スーダン、ミャンマーと続き、ウクライナ以外はすべて途上国だ。難民の生活が苦しいことに加え、もとより貧しい途上国においては、難民を受け入れる側にも大きな影響が生じることがある。
顕著な例がミャンマーからバングラデシュへのロヒンギャ難民だ。ロヒンギャは仏教国ミャンマーに住むイスラム教徒で、国軍の迫害を受けて断続的に難民化してきた過去がある。中でも、17年8月の武力弾圧は例のない規模だった。1カ月の間に6700人とも2万4800人とも推定されるロヒンギャが虐殺された。集落の焼き討ちや性暴力も横行。非人道的な弾圧により、70万人余りが隣国バングラデシュに逃れた。
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