「私がここで生まれていてもおかしくなかった…」ユニクロ柳井康治氏を動かした《世界最大の難民キャンプ》の現実

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ファーストリテは2001年のアフガニスタン難民への越冬衣料提供を皮切りに、四半世紀にわたって難民支援に取り組んできた。創業者の柳井正社長は、国連難民高等弁務官だったグテーレス現国連事務総長と交流を重ねる中で、「難民問題は世界で一番大きな課題のひとつ」との認識を深め、2006年にUNHCRとの協働を開始した。

2011年にはグローバルパートナーシップを締結した。これまでウクライナ危機(2022年)、トルコ地震(2023年)などの緊急支援に加え、衣料支援・自立支援・雇用支援を展開している。

映画の力で難民の声を届ける

「より革新的な難民支援」の試みとして打ち出したのが、今年1月のロッテルダム国際映画祭で発表された「難民映画基金」である。柳井氏が創設に関わった同基金は、自身が難民である映画製作者や難民問題を扱った作品の製作を支援するもので、「映画・映像の力で難民の声を世界に届けるとともに、彼らの存在をメインストリーム、あるいは表舞台に押し上げることを使命に掲げています。実はちょっとした会話の中から生まれたアイデアなんです」と柳井氏。

柳井氏は2023年12月にジュネーブで開催された「グローバル難民フォーラム」に招かれた際、あるセッションで俳優のケイト・ブランシェットさん、キー・ホイ・クァンさんたちと同席になり、司会者から「新しい難民支援の方法を考えて」というお題を出された。

柳井氏自身、話題作となった役所広司さん主演の映画『PERFECT DAYS』(2023年)のプロデューサーを務めたばかりでもあり、「8人の中でたまたま映画関係者が多かったので、じゃあ映画で何かするのがいいんじゃないかという話になりました」。その後、リモート会議を通じて検討を重ね、最終的に難民映画基金の設立が決まったという。

柳井康治 ユニクロ
インタビューに答える柳井康治氏(筆者撮影)
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