「コンビニ市場は飽和なのになぜ」という声もあるが…。セブンが1000店舗も増やす本質理由

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計画発表後にマスコミの方々と話すと、みな一様に飽和市場で店舗増という前提に、納得がいかないようだった。ただ、セブンだってそんなことは百も承知であり、従来型フォーマットでどんどん増やしていけるなどとはまったく思っていないはずだ。デイカス社長は記者との質疑応答で、成長投資の内訳として、スーパーとコンビニを融合した新業態「SIPストア」などをあげたことが報じられている。

コンビニとスーパーを組み合わせた新業態「SIPストア」(写真:時事)

すでに開発済みのSIPであるが、ヨークHD分離後もこの新業態で国内市場を伸ばしていく方針に変わりがないことを明言した、ということは重要である。この新業態が狙うのは、これまでスーパーマーケットが押さえてきた40兆~60兆円あるとされる巨大な内食市場(コンビニ市場は12兆円)なのであり、奪取すれば大きく成長できる可能性はある。

スーパーのシェアをコンビニが奪えるのか

では、現実的にシェアを奪うことができるか、ということについて、ちょこっと見ていくことにしたい。

セブン&アイHDのスティーブン・ヘイズ・デイカス社長(撮影:尾形文繁)

スーパーとコンビニは売っているものは食品+雑貨類とジャンルとしては似ているのだが、その用途は実はかなり違う。スーパーは内食(食事の材料)+生活必需品であり、コンビニは中食(買ってすぐに食べられるもの)+突発的不足品などに対応している。

この用途は品揃えにも影響していて、スーパーの主力商品である生鮮品は、基本、コンビニには置いていない。そんな違いもあって、これまで、家での必需品はスーパー、外出時必要になったらコンビニ、といった感じで棲み分けてきた。

そして、コンビニがスーパーのニーズを取り込むためには、生鮮品を取り扱うことが必要になるのだが、そこには日本の独特の流通慣行がハードルとなっていた。それが、スーパーにおける生鮮品のインストア加工(生鮮品は店舗のバックヤードで小分けパック詰めしたものを出す)というデファクトスタンダードである。

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