「コンビニ市場は飽和なのになぜ」という声もあるが…。セブンが1000店舗も増やす本質理由
都内ではおなじみのまいばすは、コンビニサイズのミニスーパーで、完全センター加工方式の斬新なチェーンである。バックヤードのないコンビニの跡地に居抜きで出店して大増殖し、2025年2月期には、店舗数1204店で売上高2903億円という首都圏有数のスーパーになった。首都圏の消費者は、センター加工、配送、陳列という工程を受け入れたのである。

これが何を意味しているかと言えば、今の消費者は鮮度よりも、近くて便利ならば使ってくれる、こだわらない人、忙しい人が多い、ということがわかったのであり、集中センターと物流網を整備すれば、人員の少ない店舗で消費者のニーズに応えることが可能だということである。
それは、つまり巨額の集中センター投資能力があり、物流網をすでに構築しているコンビニがスーパーに参入できる、という確証ともなったということだ。セブンがSIPでスーパーの需要を取り込むことに挑戦しようとしているのには、こうした環境変化が前提となっている。
スーパーの大手による寡占化はこれから始まる
だが、大手スーパーがしのぎを削る業界に、コンビニ大手セブンとはいえ、異業種が参戦して勝算があるのだろうか。ここでスーパーの業界構造について触れておきたい。規模の利益が働かなかった業界だということは既述の通りで、そのため、この業界は他の小売業に比べて寡占化は進まなかった。業界トップと言えば、イオングループで、そのスーパー部門売上は6.6兆円と大きいが、食品流通の1割前後であり、寡占化しているとも言えないだろう。
地域ごとにご当地スーパーが頑張っているのが、この業界の特徴であり、それはインストア加工が規模の利益を働かせないようにした産物でもある。つまり、大手の寡占化はこれから始まるのであり、イオンにも匹敵する総合インフラ力を持った大手コンビニなら、中小零細チェーンからシェアを奪取する余地は、十分あるということなのだ。
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