
中国で、ヒト型ロボットに代表される「エンボディドAI」(訳注:身体性を持つ人工知能。中国語訳は「具身智能」)に対する投資ブームが過熱している。
エンボディドAIのスタートアップ企業の它石智航(TARS)は7月8日、投資家グループから1億2200万ドル(約177億円)の資金を調達したと発表した。生活関連サービス大手の美団(メイトゥアン)傘下の投資会社がリード投資家を務め、鈞山投資(ピークベスト)、碧鴻投資(ホーン・キャピタル)など多数のファンドが出資者リストに名を連ねた。
2025年2月に設立された它石智航は、エンボディドAI専用の大規模言語モデルやロボット本体の研究開発能力、ソフトウェアとハードウェアの総合的な量産技術などを有していると自称する。だが、同社は今のところ(プロトタイプを含めて)具体的な製品を発表していない。
「物理的世界」にAIが対応
它石智航の資金調達は今回が初めてではない。設立から2カ月弱後の3月26日には、藍弛創投(ランチ・ベンチャーズ)と啓明創投(チーミン・ベンチャー・パートナーズ)の2社をリード投資家とするエンジェルラウンド(訳注:製品やサービスがアイデア段階にあるスタートアップへの投資)で1億2000万ドル(約175億円)の出資を得たと発表した。
今回の追加分を合わせた資金調達額は2億4200万ドル(約352億円)に上り、エンボディドAIを対象にした中国のエンジェルラウンドの最高記録を塗り替えた。
同社の説明によれば、研究開発チームは設立後の5カ月間を通じて、「物理的世界」に対応した世界最先端のAIおよび(人間のように様々なタスクをこなす)汎用ロボットに関する全方位的な技術開発に全力を注いできた。今回の資金調達をテコに、信頼性の高い「スーパー・エンボディドAIシステム」の実用化を目指すという。
(訳注:デジタル空間に存在するAIと異なり、エンボディドAIには物理的な現実世界で人間や環境と直接やり取りする能力が求められる)
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