中国で「エンボディドAI」への投資ブームが過熱 創業5カ月のスタートアップが352億円を調達

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創業から日が浅く、まだプロトタイプさえない它石智航が、なぜ多数の投資家から大きな出資を引き出せたのか。その秘密は同社の創業メンバーの顔ぶれにありそうだ。

它石智航の董事長(会長)を務める李震宇氏は、かつて中国のネット検索大手の百度(バイドゥ)で自動運転事業のトップを務め、自動運転技術開発のオープン・プラットフォーム「Apollo(アポロ)」や自動運転タクシーの配車プラットフォーム「蘿蔔快跑(アポロ・ゴー)」の立ち上げを率いた。

它石智航の李震宇・董事長は百度の自動運転事業を率いた経歴を持つ。写真は百度傘下の蘿蔔快跑の自動運転タクシー(蘿蔔快跑のウェブサイトより)

また、CEO(最高経営責任者)の陳亦倫氏は(中国の理工系の最高学府である)清華大学の智能産業研究院でスマート・ロボット分野のチーフサイエンティストの肩書きを持つ。それ以前は民生用ドローン大手の大疆創新科技(DJI)で視覚情報技術のチーフエンジニアを務めたほか、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)では自動運転技術のCTO(最高技術責任者)として活躍した。

創業メンバーに「天才少年」

它石智航のチーフサイエンティストに就任した丁文超氏は、ファーウェイの「天才少年プロジェクト」(訳注:超優秀な若手研究者を高給で雇用するプログラム)の出身だ。丁氏はファーウェイで(AIが自動運転車両の周辺環境の認識から運転操作までを担う)「エンドツーエンド(E2E)」の自動運転システムの研究開発をゼロから主導した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

「ハイテク投資家の多くは、エンボディドAI分野のトップグループの企業に投資を集中させており、後発のスタートアップの資金調達はハードルが上がってきている」

財新記者の取材に応じた複数の機関投資家は、エンボディドAIに対する投資ブームの現状をそう述べた一方、它石智航に関して次のように補足した。

「後発のスタートアップでも、創業メンバーが有名大学や有力企業の出身で技術面の実力が確かならば、投資家はなお出資に前向きだ」

(財新記者:杜知航)
※原文の配信は7月8日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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