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中国の自動車業界で、クルマの機能や特徴をソフトウェアで作り込む「SDV(ソフトウェア定義車両)」の開発競争が過熱。技術革新や資金力が追いつかない企業が、早くも淘汰の波に洗われている。
自動運転スタートアップの縦目科技(ゾンム・テクノロジー)は、その最新事例だ。財新記者の取材によれば、同社は1月24日時点で従業員の2024年12月分の賃金を支払えない苦況に陥っている。
「経営陣はあらゆる手段を尽くしているが、短期的には資金を調達できる見通しが立たない。従業員の住宅積立金や社会保険料も納付できない状態だ」
賃金支払いを求めて直談判した社員に対し、縦目科技の創業者兼CEO(最高経営責任者)の唐鋭氏は、会社の実情をそう説明したという。
3年前の評価1700億円超
2013年創業の縦目科技は上海市に本社を置き、自動車用の自動運転システムの開発を手がけてきた。
創業トップの唐氏はアメリカ国籍を持つが、大学および大学院は中国の理工系最高学府である清華大学で電子工学を専攻。卒業後は半導体業界で長年活躍した経歴を持つ。
縦目科技が開発した先進運転支援システムは、2016年に民営自動車大手の吉利汽車のSUVに採用された。それをきっかけに、縦目科技は複数の自動車メーカーと協業に合意。2022年3月にはシリーズEラウンドの資金調達にも成功し、当時の企業評価額は80億元(約1722億円)に達した。
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