だが2023年に入ると、自動運転システムの開発企業同士の競争が激化。自動車メーカーも協業先の絞り込みに動き、縦目科技は業界内での存在感を徐々に失っていった。
同社はロボット開発などの新分野に転進を図ったものの、成果を出すことができず、2024年の晩秋には資金繰りに行き詰まったもようだ。
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縦目科技は2024年11月10日、社員に対して10月分の賃金の支払いが遅れると通知。11月25日になると、賃金の全額支給はできず「基本的な“生活費”のみを支払う」と一方的に伝えた。
財新記者の取材に応じた入社4年目の社員によれば、2024年11月と12月に会社から支給された“生活費”は、手取り9000元(約19万3700円)ほどに過ぎなかったという。
「生き残れるのは3社」
縦目科技の資金繰りの悪化は、IPO(新規株式公開)のタイミングを逃した影響も大きい。同社は2022年、上海証券取引所のハイテク企業向け新市場「科創板」に上場を申請したが、2023年9月に申請を撤回した。
さらに2024年3月、同社は香港証券取引所に上場申請したものの、半年後に再び断念した。香港証券取引所に提出したIPOの目論見書によれば、縦目科技の2023年の通期決算は4億9800万元(約107億円)の売上高に対し、それを超える5億6400万元(約121億円)の純損失を計上していた。
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中国の自動運転スタートアップでは、かつてスター企業と持て囃された禾多科技(ホロマチック)でも経営危機が表面化した。
「将来的に生き残れるのは3社程度だろう」。現在のトップランナーの1社であるMomenta(モメンタ)の創業トップの曹旭東氏は、1月下旬、中国メディアの取材に対してそんな厳しい見方を示した。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は1月27日
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