
2023年にアメリカで世界初公開され、今年日本でも発売された、通算6代目となるスバル「フォレスター」を見て、このブランドのSUVデザインが次のフェーズに入ったと感じた。
プラットフォームは先代フォレスターと共通であり、ボディサイズは全長4655mm×全幅1830mm×全高1730mmと、15mmずつ拡大したにすぎない。2670mmのホイールベースは不変だ。
つまり、パッケージングは変わっていないが、エクステリアデザインが大きく変わった。なかでもフロントマスクは“激変”と呼べるレベルである。
スバルのアイデンティティは薄れたか?
先代フォレスターは、六角形の「ヘキサゴングリル」と点灯時に“コの字型”に光るヘッドランプを組み合わせた、他の多くのスバル車が取り入れていたデザインを採用していた。
このうちヘキサゴングリルは、スバルのエンブレム「六連星(むつらぼし)」と同様の経緯を表している。中島飛行機の流れを汲んだ5社の出資で富士重工業が生まれ、同社が5社を吸収したというものだ。

一方の“コの字型”ランプは、ノーズに積まれる水平対向エンジンのピストンを表現していたという。グリルとランプは離されていて、それぞれの存在感を明確にしていた。
ところが、新型では両者が一体化された。具体的に言えば、グリルが大型化したことで、ヘッドランプとつながった。
グリルとランプの段差もなくなっていて、スバルとしてのアイデンティティは薄れたような気がする。

一方でその顔つきは、アメリカンSUVを思わせる堂々としたものであり、力強さは格段にアップした。中身の構成はたしかに複雑でも、面としてはスムーズになったので、モダンになったとも感じる。
サイドビューも、一新した。先代では前後のフェンダーまわりを盛り上げて、SUVらしい力強さをアピールする一方で、サイドウインドウ下端のラインやサイドシルには、リアに向けて跳ね上がるラインを入れるなど、「レヴォーグ」を思わせるスポーティな演出もあって、やや煩雑に感じた。
それが新型では、台形のフェンダーの張り出し以外はシンプルで、サイドシルも台形で統一されており、結果としてSUVらしい力感が強調されている。
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