「アームにとってIPO(新規株式公開)は重要な一里塚だ。とはいえ、それによってわが社のグローバル戦略は変わらないし、中国戦略も変わらない」
イギリスの半導体設計大手アーム(ARM)のレネ・ハースCEO(最高経営責任者)は9月18日、財新を含む中国メディアのグループ取材に応じ、そう強調した。
その4日前の9月14日、アームはアメリカのナスダックにADS(アメリカ預託株式)を上場。初日の取引の終値は63.59ドル(約9401円)と、売り出し価格の51ドル(約7539円)を24.7%上回り、時価総額は約652億ドル(約9兆6386億円)に達した。
先端半導体技術をめぐるアメリカと中国の対立が深まるなか、アメリカの投資家の間には、アームの中国市場への依存をリスクと見なす向きがある。しかしハース氏は、「中国市場は強靱かつ活力に満ちており、アーム(の成長戦略)にとって非常に重要だ」と語り、中国へのコミットを続ける考えを示した。
パートナー経由のビジネスを維持
アームは中国の顧客に対して、事業パートナーである安謀科技(アーム・チャイナ)を通じてサービスを提供している。ハース氏は、この(安謀科技を介した)事業形態に関しても「変わることはない」と明言した。
安謀科技はもともとアームの100%出資の中国法人だったが、2018年に株式の51%を中国系投資ファンドなどに売却して合弁会社化した経緯がある。アームにとっては関連会社であると同時に最大の顧客でもあり、2023年3月期の通期売上高に占める安謀科技向けの比率は約24%に上った。
(訳注:安謀科技では2020年に合弁会社の支配権をめぐる内紛が起こり、アームのIPOの妨げになったとされる。詳しくは『英アームの中国合弁「内紛劇」解決できない真相』を参照)
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