中国当局が運転者の「スマートカー過信」に警鐘 「運転支援」と「自動運転」の混同が事故の要因に

✎ 1〜 ✎ 347 ✎ 348 ✎ 349 ✎ 350
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
スマートカーの普及が進む中国では、販売される新車の2台に1台以上がADASを搭載している。写真は自動運転システムのテスト走行の様子(小鵬汽車のウェブサイトより)

スマートカーの販売が急拡大している中国で、搭載された先進運転支援システム(ADAS)に関連した交通事故が増えている。背景には(スマートカーの高機能ぶりをうたう)自動車メーカーの過度な宣伝や、ドライバーの(安全性に対する)過信があるとみられている。

そんななか、危機感を抱いた交通安全当局がドライバーへの異例の注意喚起に乗り出した。7月23日、国務院新聞弁公室(訳注:中国政府の対外広報機関)で開催された記者会見で、中国公安省交通管理局の王強局長は次のように強調した。

「目下の中国市場で販売されている新車に搭載された“スマート・ドライビング・システム”に、自動運転機能は備わっていない。まだ(人間による)運転を補助するレベルであり、クルマの制御は人の手に委ねられている。つまり、(交通事故を起こした場合などの)最終的な責任の主体はドライバーにあるということだ」

レベル2の責任主体は人間

王局長はさらに、具体例を挙げてスマートカーを過信するリスクに警鐘を鳴らした。

「ドライバーが(運転操作をシステムに任せて)ハンドルから手を離し、前方を見ないでスマートフォンを見つめたり、うたた寝をしたりするのは極めて危険だ。ひとたび事故が起きれば、ドライバーは法的責任を問われることになりかねない」

自動運転技術の水準は、国際基準ではレベル0(運転自動化なし)からレベル5(完全自動運転)までの6段階に分類されている。そのうちレベル1とレベル2は「運転支援」の段階であり、責任の主体は人間のドライバーにある。そしてレベル3以上が「自動運転」の段階となり、運転操作の責任がシステムに移る。

現時点の市販車が搭載している自動運転技術は、そのほとんどがレベル2のADASなのが実態だ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事