
スマートカーの販売が急拡大している中国で、搭載された先進運転支援システム(ADAS)に関連した交通事故が増えている。背景には(スマートカーの高機能ぶりをうたう)自動車メーカーの過度な宣伝や、ドライバーの(安全性に対する)過信があるとみられている。
そんななか、危機感を抱いた交通安全当局がドライバーへの異例の注意喚起に乗り出した。7月23日、国務院新聞弁公室(訳注:中国政府の対外広報機関)で開催された記者会見で、中国公安省交通管理局の王強局長は次のように強調した。
「目下の中国市場で販売されている新車に搭載された“スマート・ドライビング・システム”に、自動運転機能は備わっていない。まだ(人間による)運転を補助するレベルであり、クルマの制御は人の手に委ねられている。つまり、(交通事故を起こした場合などの)最終的な責任の主体はドライバーにあるということだ」
レベル2の責任主体は人間
王局長はさらに、具体例を挙げてスマートカーを過信するリスクに警鐘を鳴らした。
「ドライバーが(運転操作をシステムに任せて)ハンドルから手を離し、前方を見ないでスマートフォンを見つめたり、うたた寝をしたりするのは極めて危険だ。ひとたび事故が起きれば、ドライバーは法的責任を問われることになりかねない」
自動運転技術の水準は、国際基準ではレベル0(運転自動化なし)からレベル5(完全自動運転)までの6段階に分類されている。そのうちレベル1とレベル2は「運転支援」の段階であり、責任の主体は人間のドライバーにある。そしてレベル3以上が「自動運転」の段階となり、運転操作の責任がシステムに移る。
現時点の市販車が搭載している自動運転技術は、そのほとんどがレベル2のADASなのが実態だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら