
「第1四半期はレアアース問題でほとんど生産できず、赤字になってしまいます」
電子部品大手のミネベアミツミがこう吐露するのは、スマホの背面カメラに使われる「アクチュエーター」と呼ばれる部品だ。
アクチュエーターは各レンズに1つ付いている部品だ。現在主流のスマホカメラ向けアクチュエーターはVCM(ボイスコイルモーター)という方式をとっている。磁石とコイルを組み合わせた電磁石で画像データを出力するイメージセンサーを動かし、ピント合わせや手ぶれ補正を行っている。
スマホカメラ向けのアクチュエーターはミネベアミツミ、アルプスアルパイン、TDK(競争環境の激化で2025年4月に事業譲渡を発表)の日系3社が長らく強みを発揮してきた分野だ。2024年の世界シェアはミネベアミツミがトップの10.4%を占める。アルプスアルパインは9.9%で3位と肉薄する(テクノ・システム・リサーチ調べ)。米アップルなど世界の名だたるスマホメーカーの高性能なカメラを支えてきた。
レアアースめぐり競合と明暗が分かれる

このアクチュエーターにレアアースが使われている。レアアースを添加することで磁石の性能を高められるためだ。スマホにはアクチュエーター以外にもディスプレーやバッテリーなどにレアアースが使われている。その使用量はスマホ1台当たり0.数グラムと微量だが、性能を大きく左右している。
ミネベアミツミの貝沼由久会長CEOと吉田勝彦COO兼CFOは2025年5月の決算説明会で「第1四半期(4~6月期)はレアアースの入手が困難であるため光デバイス(アクチュエーター)が低調になる」と発言。ほんのわずかな鉱物資源の入手に苦慮して泣きを見た。
一方、スマホカメラ用アクチュエーターでミネベアミツミの最大のライバルであるアルプスアルパインは好調だ。アルプスアルパインのIR担当者は、ミネベアミツミのシェア分が一時的に自社に流れていると明かす。
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