イタリア発PEファンド「インベストインダストリアル」が日本のファミリー企業に照準。国内中堅企業に関心、東京事務所を開設へ

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インベストインダストリアルは食料品のイータリーなどに投資してきた(写真:尾形文繁)
※本記事は「会社四季報オンライン」でも有料会員向けに配信しています

PE(プライベート・エクイティ)ファンドによる投資が相次いでいる。ベイン・アンド・カンパニーによれば、日本のPE市場における取引総額は2024年に3.1兆円となり、4年連続で3兆円を超えた。勢いは2025年に入っても続き、9月にはアメリカのベインキャピタル(BCSF)が、イトーヨーカ堂を中核とするヨーク・ホールディングスを8000億円超で買収した。

そんな日本のPE市場に、新たなプレーヤーが加わる。イタリアを拠点とする「インベストインダストリアル」だ。19世紀後半に設立されたコングロマリットを源流とし、1990年に現体制となった。世界8カ国に拠点を構え、二輪車のドゥカティや自動車のアストンマーティン、スポーツ用品のカッパ、食料品のイータリーなど欧州企業を中心に投資をしてきた。同社は昨年に日本法人を立ち上げ、目下、東京事務所の設立や現地人材の採用を進めている。

キーワードは「ファミリー企業」だ。現会長のアンドレア C. ボノミ氏は創業家出身。これまでの投資先企業も、創業家が株式を握る老舗企業が多い。日本進出を決めたのも、中堅中小企業に家族経営が多いことが一因だ。日本での展開やほかのPEファンドの差別化について、ボノミ会長を直撃した。

なぜ日本に進出するのか

——日本では、アメリカ系と比較して欧州系のPEファンドは少ないです。

その通り。欧州系のファンドは少ない。アメリカ系は投資機会があればどこにでも進出するが、欧州系は地元に特化して投資を行うからだ。

われわれは少し特殊だ。世界8カ国に拠点があり、日本は9番目。これまでの投資先には(イタリアの紳士服メーカーの)ゼニアや(デンマークの照明メーカーの)ルイスポールセンなど、日本でも事業を展開している企業がある。

日本企業はイタリア企業と似ている。創業家が経営に関与し、自分たちの会社とビジネスを愛していること、そして事業承継問題に直面していることだ。100年以上の歴史がある企業も多い。当社であれば、企業のカルチャーや創業家の想いに共感できる。

例えば、当社が2006年から投資を始めた(イタリアの二輪車メーカーの)ドゥカティ。当社と従業員の関係は、バイクへの愛情を通じて結ばれている。単なる投資先として見るだけでは、友好な関係は築けないだろう。日本においても大企業というよりは、家族経営の中堅企業と取引を行いたい。

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