千葉銀と千葉興銀、「合併なし」の統合効果に強い自信/千葉銀米本頭取「店舗統廃合なしでもシナジー効果が出せる」

「信頼と尊重の2ブランドによる地域金融力の強化」の実現――。
千葉県を地盤とする地方銀行の千葉銀行と千葉興業銀行は9月29日、経営統合に向けた基本合意書を締結したと発表した。2027年4月1日をメドに銀行持ち株会社を設立し、共同株式移転により両行がその傘下に入る。株式移転比率は、今後実施するデューデリジェンスの結果を踏まえて決定する。
両行は経営統合の目的について、発表資料の中で冒頭のように説明。「合併は予定していない」とし、あくまで2行の自主性・自立性を尊重した統合だと強調した。
千葉銀の総資産は21兆6300億円で、純利益は742億円(2025年3月期)。一方、千葉興銀の総資産は3兆2400億円、純利益74億円(同)と大きな差がある。統合後の総資産は単純合算で24兆8700億円。地銀グループではふくおかフィナンシャルグループに次ぐ2番目の規模(25年6月末基準)となる。
ファンドが「仲人」に
統合の端緒となったのは、ゴールドマン・サックスの銀行アナリストであった田中克典氏が2020年に設立した「ありあけキャピタル」による千葉興銀への出資だ。
優先株式による希薄化懸念などから千葉興銀の株価が割安と判断したありあけは、2022年秋頃から市場での株式取得を開始した。2025年1月には信用取引で買い建てした株を現物株で受け取る「現引き」により、議決権割合が19.9%まで上昇。みずほ銀行を抜いて筆頭株主に躍り出た。
千葉興銀は優先株の縮減方針を明確化するなどしたが、ありあけは統合による業務効率化などのさらなる改革が必要と判断。2024年から株式の譲渡先となる銀行を模索し始めていた。隣県の地銀を含め複数行に対して株式の取得意欲を探っていたとされ、237億円という最も高額な価格を提示した千葉銀が、今年3月にありあけからの株式取得を発表した。
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