
転職サイトや退職代行。職場を辞めやすい環境は年々広がりつつある。そのような中、離職者が少ない職場はどこなのか。今回は大手企業の離職状況を見るために、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2025年版のデータを使い、2023年度の「離職者が少ない会社ランキング」を作成した。
対象は2022年度の単独従業員が1000人以上の会社で、離職者数を単独従業員数で割った離職率も併せて表示した。ただし、こちらは前年の従業員数と離職者が異なる基準の場合もあるため注意が必要だ。
トップの大阪ガスは離職率1.1%
ランキングを見ていこう。1位は大阪ガスで13人だった。2022年度の単独従業員1163人に対する離職率は1.1%。フレックスタイム制度、短時間勤務制度、サテライトオフィスなど勤務柔軟化の諸制度が充実する。有給休暇取得率は87.3%と高いレベルで、残業時間削減のため20時以降在館・勤務の事前申請なども行っている。
2位は三井不動産の16人で離職率は0.8%。教育研修に力を入れ、1人当たり年間教育研修費用は13.2万円と高水準だ。定年も65歳で役職定年もない。イノベーション創出や社会貢献に資する副業を認めるなど従業員の幅広い能力向上に力を入れる。
3位は王子ホールディングスで17人。HD単体の数字となっている。同社も定年は65歳までで役職定年はない。キャリアコースはエキスパート職、ゼネラリスト職など4職種に分かれる。
4位は電子部品向けなど自動装着装置トップのFUJIと宝酒造が傘下の宝ホールディングスが18人で並ぶ。FUJIは従業員数1738人で離職率は1.0%。専門性が高い人材をエキスパート職として手当支給や裁量労働制を適用する。宝ホールディングスは同1454人の同1.2%で社員参加型の新規事業開発プログラムなどチャレンジ支援制度が充実している。
以下、6位アドバンテスト(19人)、7位名工建設(20人)、8位タクマ(22人)が続く。
79位の浜松ホトニクスは単独従業員数がランキング中最多の3884人。離職者42人で離職率は1.1%だった。勤続年数が長い会社も多く、95位JVCケンウッド(46人)24.7年など20年以上の会社が14社もあった。
今回のランキング対象530社の離職率の平均値は4.5%だ。「3~4%」あたりを離職者の少なさの目安としているが、上位100社はほぼ4%未満となっている。一部、転職が盛んな企業はこの限りではないが、会社の見方として参考にしていただきたい。
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