タイ政府は長年にわたって中国人旅行客の誘致に力を入れており、2023年9月からは観光ビザの取得を免除した。海外旅行を計画する中国人にとって、以前のタイは比較的治安がよく、渡航手続きが(他国に比べて)簡単で、費用面でも(物価が安く)お得感がある目的地であり、それが高い人気につながっていた。

だが、こうしたタイの優位性は今やかなり薄れてしまった。ある中国の旅行業界関係者は、王星氏の誘拐事件の影響(によるイメージダウン)が尾を引いていることに加えて、中国人旅行客のビザなし渡航を認める国が増えたことも、タイ旅行の魅力低下に拍車をかけたと解説する。
「90后」には日本が人気
では、中国人旅行客はタイの代わりにどこへ向かっているのか。航空情報の分析を手がけるCADASのデータによれば、6月24日から30日までの1週間に中国からの渡航者数が最も多かった国・地域は日本であり、その数は前年同期比30%増の延べ44万3000人に上った。

日本旅行の人気の高まりを受け、中国の航空各社は日本路線の強化を急いでいる。例えば、中国国際航空は北京-東京線を増便し、中国東方航空は上海-大阪線の機材を(座席数の多い)ワイドボディ機に変更、春秋航空はタイ路線に使用していた4機のエアバスA320型機を日本路線に振り向けた。
「若者の消費・生活スタイルの変化とともに、『90后(1990年代生まれ)」以降の世代では海外旅行の目的地として日本の人気が高まっている。さらに、円安の影響やビザの取得がしやすくなったことも追い風だ」。航空情報サイトの飛常准はそう分析している。
(財新記者:鄒暁桐)
※原文の配信は7月2日
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