"伝説"の国際ボランティア八木沢克昌さんの一生 アジアの難民・貧困家庭の教育支援に献身

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2013年、タイ・ミャンマー国境の難民キャンプで支援活動を行っている八木沢克昌さん(右、撮影・柴田直治)

タイのスラムを拠点に東南アジアや南アジアで貧困家庭への教育支援に40年以上にわたって取り組んできた公益社団法人「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」理事の八木沢克昌さんの葬儀が2025年1月11日、バンコク・クロントイ地区の寺で営まれた。

1月16日にはタイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯にあるチェンカーンで二人の子供らの手により大河メコンに散骨された。タイ東部のスリン県サワイ村の寺に近く納骨される。

2025年1月7日、クロントイの自宅で倒れているところを発見され、病死と確認された。享年66歳。67歳の誕生日を2日後に控えていた。

数千人にスラムの道案内

八木沢さんは、アジアでボランティア活動にかかわる人の間では伝説的な存在として知られていた。1980年代初頭、ポルポト政権崩壊後のカンボジアからタイに流れ込んだ多数の難民らの支援活動を始め、その後SVAのタイやラオス、カンボジアの各事務所所長を務めた。

とくに子ども図書館の設置・運営や貧困家庭の教育支援に尽力したほか、ミャンマーやアフガニスタンの難民援助、ネパールの地震被災地の救援などに幅広く活躍した。

私は新聞社の特派員としてバンコクに駐在していた約20年前から、公私ともに一方ならずお世話になった。取材では八木沢さんに導かれてタイのミャンマー国境の町メソットやミャンマー側のメラ難民キャンプなどを何度か訪れた。ラオスやカンボジアでも協力してもらった。

記者にとっては本当にありがたい道先案内人だった。自力では難しい場所に連れて行ってくれて、知り合いを紹介し、通訳を買って出て状況を解説してくれた。私が特別というわけではない。八木沢さんにお世話になった記者やカメラマンの数は、バンコク駐在だけで三桁に届くだろう。

また、酒好きの健啖家でもあり、食事や酒席をともにしたことは数えきれない。同僚や他社の記者も同様だった。

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