赤字60億円でも貫いた「3回目のボーナス」
多くの企業は年に2回ボーナスが出る。しかし日高屋には「3回目の」ボーナスがある。毎年2月に支給される「成長分配金」だ。2022年2月期の決算から支給されはじめたが、実は名前を「決算賞与」から変えただけ。2008年から17年間、1年も欠かさず支払われてきた。
「年に27億、35億と、2年連続赤字だったコロナ禍もずっと渡していました。通常、成長分配金は、目標としていた利益額を超えた分をすべて従業員に還元する形を目安に支給していますが、コロナ禍は当然目標を超えることなどできなかった。だから内部留保から少額ですが出しました」
運営会社であるハイデイ日高の青野敬成社長は、そう苦しい時期を振り返る。
60億円赤字でも、成長分配金を払い続けたのはなぜなのか。そこには、創業者の会長、神田正さんから受け継ぐ信念がある。
「事業をやるからには、企業が成長するだけでなく、その成果を社員にも還元すべき」という、「分かち合う資本主義」と呼ばれる考え方だ。
喜びも苦しみも従業員と分かち合う。儲けた分は還元する――。だから、誰もがしんどいコロナ禍こそ、支給して社員を支えたのだ。「決算賞与」から「成長分配金」に名前を変えたのも、その信念を社員に伝えるためだという。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら