「串カツ田中」競合と一線を画す居酒屋業態の変容 全面禁煙にいち早く着手して既存客が一時離れるも、支持を回復したワケ

大阪の食文化だった「串カツ」も今や全国区の食になりつつある。その先導役を担ったのが「串カツ田中」だ。
全国に330店(2025年3月1日現在)を展開。全店舗の5割強が集中する首都圏でも、白地に赤と黒の文字が入った「名物串カツ 田中 大阪伝統の味」の看板をよく見かけるようになった。
コロナ禍の落ち込みから業績も回復。2024年11月期の連結売上高は168億6400万円(前期比19.8%増)、経常利益8億4600万円(同1.6%増)。来期は売上高201億円、経常利益11億5000万円を見込む。
2008年12月に1号店を東京都内に開業して16年。ここまで支持を広げた理由を、運営する串カツ田中ホールディングス(本社:東京都品川区)の坂本壽男社長に聞いた。
他の居酒屋とは違う利用のされ方
「終電ギリギリまで外食される方は減っており、2次会や3次会に流れるケースも少なくなりました。総じて居酒屋業態は客数が減っています。一方で諸経費高騰により値上げに踏み切った店も多く、客単価は上がったという状況です」(坂本社長、以下発言は同氏)
その中で串カツ田中は、昨年12月の売り上げが過去最高を記録した。
「12月1日~7日に行った“16周年創業祭”が好評だったのが大きいです。一部店舗を除く全店舗で、この期間は260円以下の串カツを110円で提供し(80円の「タコウィンナー」は通常価格で提供※)、多くの方にご来店いただきました。
(※上記価格は開催時の金額)
また同時期にネスレさんとコラボした期間限定品『キット串カツ抹茶あんこ』や『キット串カツホワイトいちご』(現在は販売終了)という甘串(甘いもの系)が好調で、2年前の類似企画では21万食でしたが今回は34万食を提供しました」

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