「串カツ田中」競合と一線を画す居酒屋業態の変容 全面禁煙にいち早く着手して既存客が一時離れるも、支持を回復したワケ

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一方でSNSでは利用客からの不満も投稿される。どう対応しているのか。

「まず、ご不満を持たれた方には申し訳なく思います。内容を確認したうえで店舗に連絡して対応したり、お客様の声として改善策を講じたりしています」

良い話も悪い話も、瞬時に拡散される時代、本社でも定期的にSNSをチェックしてお客の本音と向き合っている。

かねて同社は「串カツを寿司やラーメンのような日本の食文化にする」「店舗目標は1000店」を掲げてきた。

「今年2月に6店舗を閉店しましたが、今期は45店が開店予定です。一般的な居酒屋業態はサラリーマンが中心顧客となるので500~600店が限度ですが、串カツ田中は客層が広く住宅街にも出店できるので、もっと拡大余地があります」

同社の目標は「2035年までに1000店」だという。カギを握るのは人材獲得と育成だ。

「優秀な人材をアルバイトやパートから正社員登用もしていますし、突出した社員には給料も高くします。また現在は正社員約500人のうち約60人が外国人です。ネパール人やミャンマー人も多く、総じて日本語も堪能で接客していても機転が利きます」

インバウンド率は全体の1%

別業態店の育成も行うが、当面は串カツ田中が大黒柱。新たな顧客層の開拓も課題だ。

「実はインバウンド率が低く、全体では1%しかいません。東銀座や築地など2~3割を占める店舗もありますが、訪日外国人の間で知名度が低いのが現状です」

インバウンドが増えて既存の顧客と共存できれば、さらなる店舗拡大にも期待が持てるだろう。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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