「串カツ田中」競合と一線を画す居酒屋業態の変容 全面禁煙にいち早く着手して既存客が一時離れるも、支持を回復したワケ
実はもともと12月の売り上げは弱かったという。
「串カツ田中は、大人数での宴会がほぼなく、少人数での飲み会が中心のため、従来型の忘年会需要を獲得できませんでした。それがコロナ禍以降、世の中全体に少人数で気軽に楽しむ利用が定着したことも追い風となりました」
後述するが1号店は住宅街での出店だった。逆にこれが一般的な居酒屋との差別化につながり、強みを生かせる結果となった。
平均客単価は2400円→2700円に
300店規模ながら和歌山県と鳥取県以外の国内45都道府県に出店する現在、消費者はどんな思いで串カツ田中を利用しているのか。
「立地によりますが、ファミリー客は1時間ぐらいの滞在で飲食されており、他に気の合った仲間内で楽しまれる方も多いです。繁華街ではサラリーマン層も利用されます。
店の認知度は上がりました。例えば昨年9月25日に山梨県に初進出した『串カツ田中 甲府中央店』は開業日には行列となり、現在も好調です」
一方、利用者からは「おいしいけど少し高い」という声も上がっている。
「原価の高騰により、かつては110円(税込)だった『串カツ豚』は現在187円(同)で提供しています。ただ平均客単価はさほど変わっておらず、コロナ前の約2400円が現在は約2700円です。当店は満腹になるのを目的とするより、楽しい、仲間内でわいわいおしゃべりするという使われ方が多いと感じています。
客層も昔と今では変わりました。私が転職した10年前(2015年)はサラリーマンが多数というよくある居酒屋でしたが、現在はファミリー客が34%です」

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