日高屋の「分かち合う資本主義」徹底解剖。「家でつくるより安い!」ギリギリ価格で提供し地域に貢献+社員には赤字でも「3回目のボーナス」支給

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「2022年に神田から話があって、成長分配金という言葉にしようと。決算賞与と言うと、貰って当たり前みたいになってしまう。給料の一部にしてもいいんでしょうけど、それだと面白みがない。名前を変えることで、『成長して利益が出た分は分かち合い、みんなで目標以上の高みを目指そう』という理念がより伝わり、モチベーションや定着率が高まるのではと」

今期で言えば、ハイデイ日高は2026年2月期の決算予想として売上高600億円を掲げており、営業利益としてその10%を得ることが目標だ。それを超えた利益額を目安に、社員に還元される。

前年、2025年2月期は売上高556億円を達成し、成長分配金を支払った後も営業利益率9.9%を確保している。

ベトナム人SNSにある「日高屋グループ」

日高屋の経営を支えているのは成長分配金を渡す相手、すなわち人材だ。人手不足が叫ばれる飲食業界だが、人材獲得競争に負けない施策も万全だ。2021年から5年連続でベースアップをしていることもあり、雇用は比較的安定している。

他方で、採用は海外の特定技能人材に注力。現在、従業員の中で外国人が占める割合は35%。アルバイトも含めた従業員約1万3000人のうち、3500人が外国人だ。その大半がベトナム人だという。

なぜベトナム人かと尋ねると、ひとつは単純に、ベトナム人の口に日高屋の味が合うそうだ。フォーが主食の箸文化なので、親和性が高いのかもしれない。ベトナム人のSNSサイトに「日高屋グループ」ができており、辞める時も後任を紹介してくれるそうだ。紹介料も用意している。

中華そば
中華そばは、ベトナム人の従業員に特に人気が高い(撮影:美紀 悠子)

加えて、女性採用割合30%以上という目標を設定し、女性の採用にも力を注ぐ。

新卒採用においては、2018~2024年の7年連続で目標をクリア。男女や国籍の区別なく昇進が可能なキャリアアッププログラムも用意している。接客と調理、2つの分野で研修があり、試験を受けて、レギュラー、シニア、マスターの資格を取って等級が上がっていく仕組みだ。等級に合わせて賃金が上がり、店長を目指せる。

管理職についても、2029年に女性比率を10%にすることを目標に掲げており、今年も2人の女性が社外取締役に加わった。

また、アルバイトにも手厚い。アルバイトをホテルなどに集めて行う「感謝の会」を年に数回エリアを変えて開催し、会社の戦略や方向性を経営陣自ら説明。直接触れ合い、意見を交換することを重視している。

そこで共感を示したアルバイトや普段から目をつけていた人には、採用チームが「社員にならないか」と声をかけている。

青野社長自身、アルバイト時代、この「感謝の会」の前身の経営計画発表会に出席し、「この会社は向こう10年は伸びるだろう」と感じて入社したそうだ。

現在、新卒・中途を合わせて年間220人ほどを採用するなかで、アルバイトからの登用は30~40人。約1割を占める。

青野敬成社長
青野敬成社長(写真提供:ハイデイ日高)
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