国際卓越大学1号の東北大学が「名ばかりPI」。独自の研究室を与えず、メンターの研究室に居候させハラスメントを誘発

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東北大学のPIは世界標準とは異なり、空間的な独立性がない(撮影:大澤誠)

科学技術立国を掲げながらも、研究力の凋落が続く日本。政府が反転への切り札に位置付けるのが、世界に伍する研究大学の育成を目指す「国際卓越研究大学制度」である。

政府は10兆円規模の大学ファンドを設置し、卓越大学に認定した大学にはファンドから最長25年にわたり多額の支援金を出す。認定第1号になったのは東北大学で、初年度の2025年度にはまず154億円を助成する。

「PI制」へのシフトが国から高評価

所管する文部科学省は東北大学を選んだ理由として、若手研究者が活躍できる環境づくりへの姿勢を挙げている。具体的には、テニュアトラック制度の全学展開を図っていることや、従来の講座制(いわゆる小講座制)を脱して、若手でも自立して研究を進められるPI制へと移行する方針を高く評価している。

だが、東北大学が「名ばかりテニュアトラック」に手を染めてきたことは既に東洋経済が報じた通り(卓越大内定・東北大が「名ばかりテニュアトラック」 「若手研究者の安定雇用推進」の看板倒れ | 若手研究者が潰される国・日本 | 東洋経済オンライン)。後者のPIについても、世界標準とはおよそかけ離れた「名ばかりPI」になっていることが分かった。関係者に取材して実態に迫った。

PIとは、研究テーマの決定や予算、スペースの管理権限があり、自主・独立性を持つ研究主宰者を指す。

従来の講座制は、強い主導権を持つシニア教授が若手や中堅の准教授、助教、学生らを統べる形となっており、徒弟制度に近い。このピラミッド型の運営は日本の年功序列的な人事慣行とも重なり、若手の裁量は小さい。そればかりか、若手が雑務を多く担う「手足」として使われたり、アイデアを搾取されたりするなどの弊害が指摘されてきた。

文科省はこうした状況を改善するべく、大学に対して若手研究者のPI化やテニュアトラック制の普及を進めることを求めている。東北大学が卓越大学の公募でアピールした脱講座制・PIシフトは一見、この要請にマッチする。

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