〈詳報記事〉国際卓越大学1号の東北大学がグローバルスタンダードとは異なる「名ばかりPI」。世界に伍する目標に反した実態とは
シニア教授が若手・中堅の准教授や助教らを統べて研究室を運営する「小講座制」から脱する。そして、若手でも実力があれば研究主宰者(PI)として扱い、十分な裁量を持って自由に研究ができる体制へとシフトしていく――。
「世界に伍する研究大学を育てる」狙いで政府が設けた国際卓越研究大学の第1号となり、初年度の2025年度には助成金として154億円を受け取る東北大学。認定にあたり政府から高く評価された計画書には、冒頭のようなPI化への意欲や、テニュアトラック制度の全学展開を図る方針が記されていた。
だが、そこに偽りはないか。これまで東北大学は、若手研究者の育成拠点と位置づける学際科学フロンティア研究所(学際研)で「名ばかりテニュアトラック」に手を染めてきた。このことは既に東洋経済が報じた通りだ(卓越大内定・東北大が「名ばかりテニュアトラック」 「若手研究者の安定雇用推進」の看板倒れ | 若手研究者が潰される国・日本 | 東洋経済オンライン)。
PIの独立性を損なう構造
さらに、独立して研究を主宰する立場であるはずのPIについてもメンター(指導や助言をするシニア研究者)を付けることを必須にしているうえ、大学が独自の研究室を与えず、メンターの研究室内からスペースを分けてもらう形にしている。過去に学際研に在籍していた複数の若手研究者に取材すると、その実態はメンターの腹次第で研究をストップさせられかねない「名ばかりPI」であることが新たに分かった。
まず、上述したような東北大学のPIのあり方自体が、グローバルスタンダードである本来のPIとは大きく異なる。
25年6~7月まで東北大学の学際研で実施していたPIポストの公募(26年4月から雇用開始予定)要項には、「研究スペースの提供と研究支援等を職務とするメンター教員を応募時に選任し申請していただく」などと記されている。スペース配分権がPI本人にはなく、研究環境は他者であるメンターの裁量に依存する形になっている。この時点でPIの肝である「独立性」に反する従属関係が構造的に生じている。



















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