国際卓越大学1号の東北大学が「名ばかりPI」。独自の研究室を与えず、メンターの研究室に居候させハラスメントを誘発

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別の若手研究者は「学際研に着任してみると、書類上では受け入れ先だったメンターの教授の研究室には、私のデスクはなかった。実質的な所属は、メンターの教授がいるセンター内ではない別の教授の研究室へと勝手にスライドされていた。そこは理論系の研究室だったため、実験スペースが全くなくて非常に困った」と明かす。

こうした深刻なハラスメントが起きるのは、視点をメンターの側に移せば必然と言える。メンターにはPIを受け入れるメリットが乏しいからだ。PIを本来の定義に合うように扱えば、自分の研究室運営には関わってもらえないのに、場所だけを提供することになる。

軋轢が生じるのは必然

この構造的な問題を念頭に、ある若手研究者は「だからメンターがPIの研究を邪魔して、出ていきたくなる方向に仕向けることが起きる。あるいは研究室で『使える』人材が来たら、手足のように扱いたくなる。軋轢を生むやり方だ」と話す。

東洋経済は東北大学に対し、「メンターを必須とし、かつ研究スペースもメンターから分けてもらうような形は国際的にはPIとはみなされない」と指摘し、質問状を送った。

そして、上記のような証言を挙げ、「空間的な独立性がないのになぜPIと言えるのか」「メンターがスペース提供を拒否したり縮小したりした場合、PIの権利はどう守られるのか」「研究スペースを含めた独立性が確保されていることを、いつ、どのような基準で確認しているのか」を尋ねた。

これに対し、東北大学は一括回答として「メンター制度は研究者のキャリア初期を支援するものであり、PIとしての独立性と相反するものではない」等と主張するだけで、質問で示した疑義に具体的に答えることはなかった。

「名ばかりテニュアトラック」に続き、世界標準とは違う独自概念での「名ばかりPI」でも「問題ない」と主張する東北大学。このままでは、世界トップレベルの研究大学を目指すはずの卓越大学が名折れとなりかねない。

グローバルスタンダードである海外の有名大学の事例との比較や、東北大学への質問とその回答などの詳報は、国際卓越大学1号の東北大学がグローバルスタンダードとは異なる「名ばかりPI」。世界に伍する目標に反した実態とはで報じています。
奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入社し経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に転じた。日本の研究力低下を招いている科学技術政策や、大学・研究機関の諸問題に関心を持ち、取材・執筆を続けている。

情報提供は toru-okuda [at] toyokeizai.co.jp へ。

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