国際卓越大学1号の東北大学が「名ばかりPI」。独自の研究室を与えず、メンターの研究室に居候させハラスメントを誘発
そもそも東北大学は、13年4月に設置した学際科学フロンティア研究所(学際研)を「PIとして独立した若手研究者の育成拠点」と位置付け、先進的にPI化に取り組んでいるとアピールしてきた。冨永悌二・東北大学総長は25年10月に公開されたサイエンスポータルのインタビューで「13年に学際研をつくり、世界中から公募した若手50人にPIとして研究を主宰してもらう試みを始めていた」と語っている。
スペースはメンターから間借り
ところが、学際研のPIの公募内容を見ると、世界標準とは異なる実態が浮かび上がる。「事前にメンター(助言者・指導者)になってもらうシニア研究者(教授・准教授)を決め、当人から了承を得ること」が必須条件とされているのだ。また、採用後の研究スペースも「メンター研究室において提供される」、要するにメンターから分けてもらう形になると記されている。
これの何が問題なのか。ポスドクや博士課程の学生であれば、シニア教授がメンターとなること自体は珍しくない。しかしPIとなれば話は違う。助言や指導をするメンターが任意ではなく「必ず付く」ことは、自主・独立性が担保されるべき世界標準のPIの定義とは矛盾するからだ。
しかもPIなのに独自の研究スペースを与えられず、メンターから研究室内の場所を借りる「居候」なので、空間的な独立性もなく弱い立場となる。メンターの腹次第でいつでも研究をストップさせられる状態だ。そのため、講座制のような従属関係が構造的に生じている。
学際研にPIとして所属していた複数の若手研究者によると、世界標準とはかけ離れた「東北大学式PI」によって、実際に様々な問題が起きていたという。
ある若手研究者は「メンターと関係が悪くなり、メンターの研究室から追い出された人がいた。その人は仕方なく空き教室でやりくりしていた」「メンターと研究機器などが何らかバッティングする人だと邪魔者扱いされたり、あるいは講座制のようにメンターの研究や雑用を手伝わされたり、といったようなことが起こっていた」と証言する。
さらには、「メンターのラボで手伝わされていた仕事が論文になって発表されたのに、論文には名前を載せてもらえない、ということも起こっていた」という。また「本来は独立しているはずの予算があいまいにされてメンターに使われてしまった、という話も聞いている」という。


















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