「サラリーマンの天国」日高屋に高齢者が殺到する"異変"? 《420円中華そばで年商600億円の凄み》「ちょい飲み発祥店」、変化のワケを深掘り

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日高屋の看板メニュー 中華そば
日高屋の看板メニュー・中華そば420円は、2025年4月にリニューアル。魚介のスープのやさしい旨みが細ストレート麺と好相性。スープには、水揚げ後1時間以内に釜茹でした瀬戸内産カタクチイワシのエキスを入れている(撮影:美紀 悠子)※本記事内の価格はすべて税込
中華そば420円、生ビール390円。「ラーメン1杯1000円」の店もよくある時代に『熱烈中華食堂日高屋』(以下、日高屋)は、この低価格で2026年2月期、年商600億円、営業利益率10%を見込んでいる。
タッチパネル導入で月1億円の増収、禁煙で女性客が2割から3.5割へ——。日高屋433店舗を支える驚異の経営戦略を、運営会社である「ハイデイ日高」青野敬成社長に聞く。
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載「外食ビジネスのハテナ特捜最前線」。第17回は「日高屋」を前後編でお届けする。
【あわせて読む:後編↓↓】
日高屋の「分かち合う資本主義」徹底解剖。「家でつくるより安い!」ギリギリ価格で提供し地域に貢献+社員には赤字でも「3回目のボーナス」支給

“偶数月15日”の昼、満員の理由

「店、間違えたかな⋯⋯」

先月、東京出張の道すがら入った神田西口の日高屋で面食らった。以前は昼も夜もサラリーマンで満員だった店が、高齢者グループで4割方埋まっていたからだ。

まだ13時だがジョッキを合わせ、「健康に!」と乾杯している。一緒にいた取引先の女性が、「今日は偶数月の年金支給日だから混むのよ」と教えてくれた。隣には、生ビールやハイボール片手に枝豆をつまむ4人組主婦グループ。中華そばを仲良く食べている親子連れもいる。

日高屋と言えば会社帰り、中華料理や手頃なつまみを肴に一杯やる「サラリーマンのオアシス」という印象があったのだが、この客層の変化は何が起きたのか。

そう思ってハイデイ日高の2025年2月期決算資料を見てみると、急激な右肩上がりを示していた。2023年の売上高は約381億円、2024年が約487億円、2025年度は556億円。

同3年の営業利益は約6.1億円、約46億円、約55億円。さらに、2026年2月期の業績予想には、「売上高600億円、営業利益60億円」が掲げられている。

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ハイデイ日高の2021年から2025年までの売上高と営業利益の推移
ハイデイ日高の2021年から2025年までの、売上高と営業利益の推移(画像:ハイデイ日高決算資料より)

好調の理由は、客層の拡大だろうか。しかし、日高屋と言えば、中華そば1杯420円、生ビール1杯390円などの低価格が売り。

少し前に着席したマダム2人組の席を見ても、おつまみ唐揚げ(3個)310円、餃子(6個)300円、生ビール390円、陸ハイボール340円。合計1340円、一人当たり670円と安い。居酒屋ならお通し代だけで300~500円する店もあるが、日高屋にはお通しもチャージも一切ない。

この安さで売上高600億円、営業利益率10%を見込める要因はどこにあるのだろうか。

キュービックプラザ新横浜店の店内
日曜のキュービックプラザ新横浜店の店内(撮影:美紀 悠子)*一部を加工しています
【写真】日高屋人気の秘密を写真と画像でも(12枚)
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