「サラリーマンの天国」日高屋に高齢者が殺到する"異変"? 《420円中華そばで年商600億円の凄み》「ちょい飲み発祥店」、変化のワケを深掘り

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ここで改めて、日高屋の低価格の理由を紐解きたい。昨今の物価高のなかで、なぜこのような低価格が実現できているのか。

一番の理由は、埼玉県行田市にセントラルキッチンを持っていることだ。そこに全店で使用する食材を集め、野菜のカットやオリジナル麺、スープ、タレ、餃子までを製造。一都六県に展開する店へと配送している。配送が2時間以内で行える範囲に店を集中させることで、認知度と効率を高めるドミナント戦略をとっているのだ。

食材の原価が上がってきてはいるものの、スケールメリットで取引先業者に協力を仰ぎ、仕入れ値も低く抑えられている。

セントラルキッチン
埼玉県行田市にあるセントラルキッチン(写真提供:ハイデイ日高)

一方で、物価や人件費上昇に伴う価格改定は2018年から続けている。2024年12月には約7割の商品を3.9%程度値上げし、看板メニューの中華そばも390円から420円になった。それでも、下手するとコンビニエンスストアの弁当よりも安い420円である。生ビール390円、陸ハイボールが340円。

会計するときに、「安すぎるよ」「こんな安くていいの?」「間違ってない?」などと言ってくる客も多いそうだ。

それなのになぜ年商が600億目前なのか青野社長に尋ねると、「一番は、注文から提供までのスピードです。回転率が命!」と力強い答えが返ってきた。

注文から8分以内、回転率が生命線

8分以内。それが日高屋でメニューが提供されるまでの平均的な時間だ。

「ピーク時はどうしても10~15分かかることもありますが、15分もかかると、弊社では“遅い”という認識です。ピークでも、せめて10分以内に出すことを目標にしています」

調理時間は、チャーハンが2分、フライものが6分、冷凍から調理する餃子が最も長くて7、8分。さらなる短時間化を目指して、調理工程も日々進化している。

たとえば味付けは、以前は複数の調味料を順番に入れていたが、タレ一杯でできるようにした。麺も、専用調理機を使用することで、すべての店舗で同じ茹で時間、同じおいしさを実現できるよう工夫したという。

これを担うのは本部の商品部と、工場にある専門チームだ。協力して、スピードアップと味の両立のための研究・調整を日々進めている。

餃子
7~8分かけてじっくりと調理する餃子は6個300円、生ビール390円(撮影:美紀 悠子)

DXも日進月歩で進んでいる。厨房では、餃子はセットすれば自動で焼き上がり、麺も専用機に入れ、箸でほぐせば自動で茹で上がる。その一方で、「鍋もの」と呼ばれる炒め物については、あえて手作業にこだわり、手づくりのおいしさを守る。

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