このことは、中華料理専門店として存在感が大きい『餃子の王将』、ラーメン店としての存在感が大きい『幸楽苑』という、2大ライバルとの差別化にもつながっている。
日高屋は、サッと1~2杯だけ飲んで出ていく「ちょい飲み」客が多いことでも知られるチェーンだ。焼鳥や枝豆などつまみメニューが豊富で、居酒屋のように「お通し」やチャージ代もとられない。その使いやすさも、幅広い客に選ばれる所以だと青野社長は指摘する。
「令和の時代、たくさんお酒を飲む飲み会文化は減っています。今は度数が低いお酒が売れていたり、飲むとしても一杯だけ飲んで帰りたい方も多い。そういう方に選ばれているのではないでしょうか」。
実は「ちょい飲み」という言葉自体、日高屋が発祥だそうだ。2013年、経済新聞で取り上げられた際に初めて「ちょい飲み客が多い店」と紹介され、そこから戦略的につまみを増やしていった。だから「ちょい飲み」に関しては、先頭を走っていると青野社長は自信を見せる。
つまみは現在25種類あり、たとえば冷奴200円とビール390円なら、590円で飲めてしまう。
「禁煙化後、アルコール比率は以前の17%から15%に落ちました。約50%ある居酒屋には劣りますが、それでも、飲食店の水準では非常に高いことに変わりありません。『居酒屋でもない、かといってラーメン店、中華料理店でもない』間口の広さがうちの強みです」
500店舗で600店舗分の売り上げを稼ぐ
スピード、DX、味、価格、ちょい飲みのしやすさ。複合的な戦略がミックスして、日高屋の売上高はコロナ前の2018年に比べて、1店舗で1日6万~8万上がっている。
「皆さん『どうやってるの?』と知りたがり、真似をしたいと言われます。でも、この仕組みは一朝一夕にはできません」
日高屋グループは2013年から、「600店舗体制」を目標に掲げており、残り167店舗(FC店除く)まで来ている。だが、1店舗単位の売上高が上がった今、店の数にはこだわらなくなったという。
「順調に行けば、500店舗でかつての600店舗の売り上げが取れる状況まで今来ています。そうであれば、600店舗は一つの通過点。店舗数よりも売上高を重視し、1000億円を目指していきます」と決意を語った。
後編では、新潟で初めて挑戦するFC展開と、1000億円達成までの道筋、さらに「社会インフラ」としての使命に基づく戦略や人材確保への取り組みを聞く。
【続きはこちら:後編↓↓】
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