「サラリーマンの天国」日高屋に高齢者が殺到する"異変"? 《420円中華そばで年商600億円の凄み》「ちょい飲み発祥店」、変化のワケを深掘り

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このことは、中華料理専門店として存在感が大きい『餃子の王将』、ラーメン店としての存在感が大きい『幸楽苑』という、2大ライバルとの差別化にもつながっている。

イワシフライ
サクサクの食感がうれしいイワシフライ280円は隠れた人気メニュー。好みでマヨネーズ、からし、ソースで味わえる(写真提供:ハイデイ日高)

日高屋は、サッと1~2杯だけ飲んで出ていく「ちょい飲み」客が多いことでも知られるチェーンだ。焼鳥や枝豆などつまみメニューが豊富で、居酒屋のように「お通し」やチャージ代もとられない。その使いやすさも、幅広い客に選ばれる所以だと青野社長は指摘する。

「令和の時代、たくさんお酒を飲む飲み会文化は減っています。今は度数が低いお酒が売れていたり、飲むとしても一杯だけ飲んで帰りたい方も多い。そういう方に選ばれているのではないでしょうか」。

実は「ちょい飲み」という言葉自体、日高屋が発祥だそうだ。2013年、経済新聞で取り上げられた際に初めて「ちょい飲み客が多い店」と紹介され、そこから戦略的につまみを増やしていった。だから「ちょい飲み」に関しては、先頭を走っていると青野社長は自信を見せる。

つまみは現在25種類あり、たとえば冷奴200円とビール390円なら、590円で飲めてしまう。

枝豆
ビールのお供の定番、枝豆は220円(筆者撮影)

「禁煙化後、アルコール比率は以前の17%から15%に落ちました。約50%ある居酒屋には劣りますが、それでも、飲食店の水準では非常に高いことに変わりありません。『居酒屋でもない、かといってラーメン店、中華料理店でもない』間口の広さがうちの強みです」

500店舗で600店舗分の売り上げを稼ぐ

スピード、DX、味、価格、ちょい飲みのしやすさ。複合的な戦略がミックスして、日高屋の売上高はコロナ前の2018年に比べて、1店舗で1日6万~8万上がっている。

「皆さん『どうやってるの?』と知りたがり、真似をしたいと言われます。でも、この仕組みは一朝一夕にはできません」

日高屋グループは2013年から、「600店舗体制」を目標に掲げており、残り167店舗(FC店除く)まで来ている。だが、1店舗単位の売上高が上がった今、店の数にはこだわらなくなったという。

「順調に行けば、500店舗でかつての600店舗の売り上げが取れる状況まで今来ています。そうであれば、600店舗は一つの通過点。店舗数よりも売上高を重視し、1000億円を目指していきます」と決意を語った。

後編では、新潟で初めて挑戦するFC展開と、1000億円達成までの道筋、さらに「社会インフラ」としての使命に基づく戦略や人材確保への取り組みを聞く。

【続きはこちら:後編↓↓】
日高屋の「分かち合う資本主義」徹底解剖。「家でつくるより安い!」ギリギリ価格で提供し地域に貢献+社員には赤字でも「3回目のボーナス」支給

【写真】日高屋人気の秘密を写真と画像でも(12枚)
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笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界誌で17年執筆を続けており、企業と経営者の取材経験多数。「プレジデント・オンライン」「ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン」「月刊ホテレス」「FQ Kids」などで執筆。企業noteのライター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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