日高屋の「分かち合う資本主義」徹底解剖。「家でつくるより安い!」ギリギリ価格で提供し地域に貢献+社員には赤字でも「3回目のボーナス」支給

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「分かち合う資本主義」の信念を貫くために日高屋は、ここ数年無借金経営を続けている。新規出店も、毎年20~30店舗と着実な数だ。「減価償却のできる範囲での出店数」を守っている。

出店には1店当たり約7000万円、年間20店舗だと約14億円かかる。この金額をずっと、「再投資できる金額枠」として使っていく手法をとっているのだ。

それ以上の費用をかけると支払いが増え、悪循環になりかねない。拡大リスクを最小限に抑え、無理なく堅実な成長を目指している。それが結果的に、会社にとっても従業員にとっても継続的な利益になると考えている。

「一気に店舗を広げないことは、大切なモットーです。事業にはゴールがなく、ずっと継続しなければならないもの。いかに会社と従業員の資産、給与を守っていくか、成長していくか。それを考えれば目先の拡大よりも、ずっと成長し続けられる未来を描くことが重要なんです」

そのモットーから内部留保を貯めていたからコロナ禍も経営基盤がびくともせず、無借金経営を続けられた。新規出店も止めず、数は減らせども続けたそうだ。

とはいえ物価高の昨今、支払いが増え、内部留保も今後目減りしていく可能性は否めない。これからは、内部留保を価値の未来に変えられる、M&Aなどへの投資も視野に入れていく考えだ。

キュービックプラザ新横浜店
キュービックプラザ新横浜店。日曜夕方、行列ができていた(撮影:美紀 悠子)

52年目にして初の本格FC展開へ 

この新たな投資の一環として2026年には、新潟でのFC展開がスタートする。地元企業の株式会社オーシャンシステムと契約し、2026年4月に店舗オープンが決まっている。

これまでの日高屋は、直営にこだわってきた。FCは、10年以上働いた元社員が「社内独立制度」で経営する6店舗のみ。FC展開するとマニュアルがあったとしても、利益を出すために試行錯誤するなかで味やサービスに統一性がなくなることを懸念してのことだ。

「個人オーナーではなく、中華料理店のノウハウがある企業様との提携のため、おまかせしてもいいのではと。これからオーシャンシステムの方に厨房業務、サービス業務共に研修を行ってマスター資格まで取ってもらい、最終的に3人、店を運営できる人を育てた状態でオープンします」

メニュー名の入った提灯
メニュー名の入った提灯も日高屋のトレードマークだ(写真提供:ハイデイ日高)
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