元アメリカ国家安全保障局長「トランプ氏の行動は一貫している」。マイケル・ロジャース氏に聞く

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
元米国家安全保障局長 マイケル・ロジャース氏
マイケル・ロジャース(Michael Rogers)/元米国家安全保障局長。ブランズウィック・グループ シニア・アドバイザー。1981年から37年間、米海軍に所属、大将で退役。2014〜18年に米国防総省の下部組織、国家安全保障局(NSA)局長と米サイバー軍司令官を兼任した。18年に退役、19年から戦略コンサルティング会社、ブランズウィック・グループに参画し、数多くのグローバル企業にアドバイスを行う(撮影:尾形文繁)
トランプ関税、ウクライナ戦争への対応、イランへの空爆。アメリカのトランプ大統領が世界を混乱させている。その言動は第1次政権以上に予測不能だ。『週刊東洋経済』7月26日号の第1特集は「解読!地政学」。アメリカと、翻弄される世界の現在地を読み解く。

6月にイスラエル・イラン間で起きた「12日間戦争」は、米国の空爆で鎮静化した。米オバマ政権や第1次トランプ政権で国家安全保障局(NSA)局長を務めたマイケル・ロジャース氏に、情勢の行方やトランプ政権の軍事戦略について聞いた。

根本的な問題は十分対処されていない

──米国・イスラエルとイランとの停戦合意は、中東地域の安定性にどう影響しますか?

イスラエルによる攻撃と米国による限定的な軍事行動で得られた成果は、イランの核開発プログラムがある程度後退したことだ。私の推測では、数カ月から数年程度遅れたのではないかと考える。

『週刊東洋経済 2025年7/26号(解読 地政学)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

現在、3カ国は「これ以上軍事衝突に進みたくない」という微妙な均衡状態にあるが、イランの核開発をめぐる根本的な問題は十分対処されておらず、これですべて終わったと考えるべきではない。

イランは今、「北朝鮮のように核兵器があれば、違った扱いを受けたかもしれない」と考えているかもしれない。欧米はこれまで核兵器を持つ北朝鮮に対して、直接的な軍事行動を取っていないからだ。一方イスラエルは、イランの核の脅威が解決されない限り、今後も攻撃を続ける準備があるだろう。

──トランプ大統領は、米軍を中東の戦争から引き揚げると言って当選したはずです。介入主義に転じたのでしょうか?

それは米国はいっさい軍事力を使わないという意味ではない。特定の場面や状況、目的によっては軍事力を使うことはありうる。トランプ氏のスタンスは明確で、長期化した継続的な軍事作戦、つまり大規模で地上部隊を必要とするような戦争には関与したくない、ということだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事