ついに台湾企業の傘下へ、"第2のソニー"になり損ねた「音響の名門」パイオニアがたどった蹉跌
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半世紀前の忘れえぬ感動
「パイオニアよ、お前もか」
シャープに続いて、パイオニアまでもが台湾企業の傘下となった。このニュースを知り、複雑な思いを抱いた人は少なくないだろう。長年親しんできた「日本発のブランド」が、次々と外国企業やファンドに買われていく現実に、一抹の寂しさを覚える。
かつて日本のオーディオ業界を牽引したパイオニアが、台湾企業イノラックスの子会社CarUXホールディングに買収される。2025年中に完了予定とされるこの買収は、筆者にとって深い感慨を覚える出来事だった。
1978年の春のことである。筆者はJR山手線・目黒駅の近くにあった白亜の旧本社ビル(1974年竣工)に足を踏み入れた。その瞬間の感動を忘れられない。
広々としたロビーには、来訪者が自由に音を体験できるオーディオルームが設けられ、さらに本格的なレコーディング・スタジオまで完備されていた。まさに「音の殿堂」と呼ぶにふさわしい、当時としては革新的な空間が広がっていた。


















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