オリンパス「CEO突然辞任」で後継探しの苦悩再び 1年前にトップを譲った竹内会長の胸中やいかに
医療機器大手のオリンパスがまたしても試練に直面している。昨年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)に就任したシュテファン・カウフマン氏(56)が違法薬物購入疑惑で突然の辞任。後任人事を急きょ行う必要性が出てきたのだ。
「会計不祥事を経て、CEO候補になるような方はほとんど会社に残っていない印象。限られた人材の中から選出するとなると難しい人事になるのでは」
11月8日に開かれた中間決算説明会は、10月28日のカウフマン氏辞任後、同社経営陣が初めて公に姿をみせる場となった。後任人事が難航するのではとのアナリストの指摘に、竹内康雄会長(67)は次のように反論した。
「当然課題だと認識している。 ただ、かつてCEO候補とされてきた人たちが適任とは限らない。現在の会社の状態は過去とは異なる。私は純粋にジョブ制で物事を捉えている」
エネルギッシュで信頼も厚かった
カウフマン氏の違法薬物購入疑惑は、オリンパスが通報を受けたことで発覚した。内部調査を行った結果、同社の行動規範に相いれない行為の可能性が高いと判断し、取締役会が辞任を要求。カウフマン氏が受け入れた。その後、警視庁が麻薬特例法違反の容疑で同氏を書類送検している。
カウフマン氏はドイツ出身。2003年にオリンパスの欧州グループ会社に入社し、人事部門や経営企画・戦略部門を歴任した。豊富な人事経験を武器に海外子会社を取りまとめるなど、組織に対するアプローチに長けた人物であった。
最近のカウフマン氏は、2023年に出されたアメリカ食品医薬品局(FDA)の警告書を受けて取り組んでいる製品の品質管理体制の見直しを先頭に立って推し進めていた。
カウフマン氏を知る人々の間では「昼夜問わず国際会議が続くような日々でも、いつも溌剌と仕事をこなしていた。そういうエネルギッシュな人だと思っていた」という声が聞かれる。
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