オリンパス「CEO突然辞任」で後継探しの苦悩再び 1年前にトップを譲った竹内会長の胸中やいかに

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後継を託した竹内会長は社長交代時に、「グローバルで医療市場の高い要求値を満たしていけるように組織文化を高めていくことを期待している」と語っていた。竹内会長にとってカウフマン氏は、長年ともに経営改革を進めてきた“戦友”のような存在でもあった。

カウフマン氏辞任により、CEOの業務は竹内会長が執り行うことになった。ただあくまでも「暫定的に」であり、現時点では「空位」の状態だ。

後任CEOについて竹内会長は「(今のオリンパスの)CEOに求められるミッションはますます難しくなっている」と発言。適任者を選ぶ難しさも認める。またアナリストからは次のような懸念も示された。

「注力中の治療機器事業はアメリカを拠点に開発を進めている。一方の内視鏡事業は日本が主体で開発も改良を主体とした日本のやり方。双方の事業を理解できる人材という点で、社内の日本人の方が社長になるのが妥当と思う。そうすると場合によっては『グローバルメドテック』の推進自体が遅れてしまうのではないか」

今のオリンパスは過去と異なる

2011年の粉飾決算事件を機に経営危機に陥ったオリンパス。 その再建を果たした立役者の1人が竹内会長だった。

2019年に社長に就任すると、「真のグローバルメドテックカンパニーになる」という目標を掲げ、矢継ぎ早に改革を推進してきた。グローバルメドテックカンパニーとは、端的にいうと「世界で戦える医療の会社」だ。

そのため竹内会長の社長時代に、看板事業だったカメラ、祖業の顕微鏡の2事業を売却。世界シェア7割超を占める消化器内視鏡で知られる医療機器事業に経営リソースを集中させ、「医療専業」へと舵を切った。

一連の改革の成果により、2022年度には売上高営業利益率が20%超の高水準となった。2024年度は売上高が17年ぶりに1兆円の大台に復活する見通しも立っている。もはや過去のオリンパスではないとの竹内会長の言葉は理解できる。

後任CEOの選出は指名委員会に委ねられる。

メンバーは3人。委員長は伊藤忠商事出身の藤田純孝氏。残りはジョンソン・エンド・ジョンソン出身のゲイリー・ジョン・プルーデン氏と、武田薬品工業出身の岩﨑真人氏だ。

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