――創業者である安田隆夫氏の長男、裕作氏の取締役選任には驚きました。この狙いは?
執行部である経営陣と創業家がどういう関係であるべきか。これは(大株主に)創業家がいるどんな会社でも、いつかは対峙しなければならない非常に大きな問題だ。
私自身、2019年に社長になる以前からずっとこの問題と向き合ってきた。他社の事例から得た教訓は、創業家と執行部が対立すると、とんでもないガバナンスの危機およびビジネスそのものに甚大な影響があるということだ。
これを避けるためには、大株主である創業家からボードメンバーに入ってもらう必要がある。それで私は2019年、安田創業会長に「取締役として復帰してください」と頼んだ(注:隆夫氏は2015年7月から2019年1月まで取締役を外れていた)。
株主としても(会計帳簿資料閲覧などの)請求権はあるが、必ずしもタイムリーに行使できるわけではない。ボードにいれば、都度説明を求めることも、意見することも、決議に参加することもできる。
「今、決断すべきだと思った」
――それがなぜ、今回の裕作氏選任につながったのでしょうか。
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