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15年間の収支は「約1兆円のプラス」でもJDIはやはり問題。世界中で経済活動への政府関与が強まる今、官民ファンドINCJから学ぶこと

15年間の活動を終えたINCJ(旧産業革新機構)。トータルで約1兆円の利益を上げた(編集部撮影)
15年の活動を終えた官民ファンドのINCJの総括を行うシンポジウムが7月1日に開かれた。「最終的には約1兆円の利益を上げたことは大きな成果だ」。INCJ会長を約10年務めた志賀俊之氏はそう振り返った。
2009年に国が96%出資して設立されたINCJ(設立時は産業革新機構)。政府保証による資金調達も活用して144案件に合計1兆2963億円を投じ、今年3月末までに2兆3260億円を回収。約1兆円の利益を上げたわけで、収支を見ると大成功だった。
批判を招いたJDIへの投資
しかし、INCJに対するメディアの報道は、筆者も含め批判的なものが多かった。理由は大きく2つ。まずルネサスエレクトロニクスの利益が1兆2500億円強と突出したこと。「ホームラン案件」(志賀氏)は喜ばしいが、ルネサスを除くとマイナスとなるため、INCJの評価を難しくした。
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