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「資金はいくらでもつける」宮澤蔵相必死の説得も、官邸側の致命的ミスで住信社長が不信感抱き空振りに 銀行行政が変わった日④

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首相公邸
住信の社長高橋温との首相公邸(写真手前の建物、当時)協議は実らず、合併は白紙に(写真:共同)

1998年8月。日本長期信用銀行と住友信託銀行の合併を支援するため、両行に相次ぎ資本注入するという大蔵省の極秘計画を聞かされた金融監督庁は仰天した。

過去の金融政策・経済政策の検証に取り組む筆者が、当時の政策決定プロセスや当局者たちの人間模様に迫る。【月曜日更新】

「法律を変えずに、そんなことができるのか」と幹部は驚き、「前の銀行課長(内藤純一)が練っただけに、何か秘策が隠されているのでは」と深読みする者もいた。

だが、大蔵省側は現行法のまま中央突破できると踏んでいた。公的資金注入の可否を検討する金融危機管理審査委員会(通称「佐々波委員会」)を99年までに開催すればいいと考えていたのだ。

98年2月に成立した金融機能安定化緊急措置法は、「経営の状況が著しく悪化している金融機関等」への資本注入を禁じている。だが、佐々波委員会で決まった審査基準には、その要件として「最近3年間連続で赤字決算ないしは無配当となっている」か「自己資本比率0%未満。ないしは0~4%(国内基準行は0~2%)であって、1年後も同区分にとどまる見通しである」の2項目しか書かれていない。

長銀の経営は確かに「著しく悪化」していたが、上記の2項目には該当しない。法的解釈ではぎりぎり資本注入できると判断した。

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