〈異常事態〉損害保険大手4社に業務改善命令で「1年余りで3度の行政処分」、金融庁に出直しを誓った後も「情報漏洩」を続けていた

損害保険業界に対する金融庁の憤りが、随所ににじみ出ているような行政処分だった。
顧客情報などの漏洩問題をめぐって、金融庁は3月24日、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社に対して保険業法に基づく業務改善命令を出した。
厳しい文言が至るところに並ぶ
処分の公表資料には、損保による意図的な情報漏洩行為の真因として、「保険商品およびサービスによる健全な競争環境の実現を目指さず、コンプライアンスおよび顧客保護を軽視する企業文化が存在していた」などと、厳しい文言が至るところに並ぶ。
まず、今回の情報漏洩問題には2つの類型がある。
1つは「代理店事案」。保険代理店を兼ねる主に自動車ディーラーが、自動車保険などの契約者情報を損保各社にまとめて一斉送信して共有するといった事案だ。
共有を受けた損保各社は、競合する損保の契約者情報が丸見えの状態であり、明らかに情報漏洩にあたる。
だが、一部の損保社員は個人情報保護法などの法令違反に当たることを認識しながらも異議を唱えず、長年の慣習として平然と共有していた。代理店事案における漏洩件数は、4社合計で約234万件にも上る。
2つ目の類型は「出向者事案」と呼ばれる。
メガバンクや地方銀行、大手上場企業などに出向していた損保社員が、出向先で得られる競合損保の契約者情報のほか、銀行の預金者や融資先のリスト、社外秘の業務資料などを出向元の損保に横流ししていた。漏洩にかかわった出向者の数は、4社合計で262人、件数は約34万件に上る。
出向者事案は、件数こそ代理店事案に比べて少ないものの、有り体に言えば「スパイ活動」そのものであり、行為の悪質性は代理店事案よりもはるかに高い。
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