わが国においては、昭和天皇の「ご聖断」をもって終戦と見なすので、8月15日が「戦後80年」となる。しかし国際的には、重光葵外相がアメリカの戦艦ミズーリの甲板上で、連合国に対する降伏文書に調印した9月2日が「終戦の日」である。さらに中国では、その知らせが北京に届いた9月3日が「対日戦勝記念日」となっている。
今年の9月3日、習近平国家主席は北京で軍事パレードを行い、対日戦勝80周年を大規模に祝う予定である。このイベントには、ロシアのプーチン大統領も出席する。中ロの両巨頭が80年前の戦勝を祝し、蜜月関係をアピールするという算段である。
「トランプ電撃訪中」なら21世紀のニクソン・ショックに
筆者の懸念は、このタイミングでトランプ大統領が訪中したらどういうことになるか、である。米中の関税交渉が急転直下、妥結して、「さあ、北京で首脳会談を」という誘いがあったら、トランプ大統領はホイホイと出かけてしまうのではないか。
ところが米中ロ3巨頭が北京で戦勝80周年を寿(ことほ)ぐのでは、まるで「令和のヤルタ会談」になってしまう。とりあえず日本外交としては大敗北だし、「世界の大事なことは俺たち大国が決めるのだ。お前ら小国は黙っていろ」ということになりはしないか。
当欄では、かねて筆者は「トランプとニクソンの歴史的アナロジー」について触れてきた。1971年の「ニクソン・ショック」は2種類あって、ひとつは「ドル・金交換停止」、そしてもうひとつは「電撃訪中」であった。いずれも日本に対する「不意打ち」であった。「相互関税」が21世紀版のニクソン・ショックだとしたら、トランプ大統領による電撃訪中があっても不思議はないのではないか。
歴史が韻を踏む、というのもこれは勘弁してほしいところである(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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