火星に移住したら「決算日」はどう変わるのか?会計学者が本気で考えた「宇宙の会計」の大問題

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公転周期が687日の火星で、会計のルールはどう変わるのでしょうか?(写真:Buradaki/PIXTA)
「会計」について、私たちが当たり前だと思っている「1年ごとの決算」や「1日単位で発生する金利」。実は地球の公転や自転に基づいた、この惑星特有の「ローカル・ルール」にすぎないのだ。
イーロン・マスク氏らが火星移住を計画し、宇宙ビジネスが現実味を帯びる今、もし火星に会社ができたら、その決算日はいつになるのか? 公転周期が687日の火星で、会計のルールはどう変わるのか?
新刊『火星の決算日はいつになる? 地球人のための会計入門』を上梓した明治大学専門職大学院教授の山口不二夫氏が、SFのような問いから見えてくる「会計の本質」と、来るべき「宇宙の会計の姿」について解説する。

会計とは何か

「すみません、お会計をお願いします」

飲食店などで、私たちは日常的にこんな言葉を口にします。何をお願いしているのかは、わかりますよね。店側が料金を計算して請求し、客側がその金額をお店に支払うだけのことです。とくに難しいことはありません。

一方、学問の世界には「会計学」という分野があります。ほかならぬ私自身の専門分野です。

でも、「会計」が代金の請求や支払いだけを意味する言葉だとしたら、学問的な研究対象になるようには思えません。小学校の算数さえできれば、それで済みます。

では、学問の対象にもなる「会計」とは、いったい何なのでしょう。

その字面を見れば、「会」は「集める」、「計」は「数える」という意味。お店はたくさんの顧客から受け取ったお金をさらに集めて数えて、その数字を記録するでしょう。それによって1日の売上総額がわかり、ひと月の売上総額がわかり、やがて1年の売上総額が計算できます。

また、店舗の家賃、材料の仕入れ、従業員の賃金など、コストとして出ていくお金も計算します。入ってきたお金と、出ていったお金の差額を見れば、その1年でお店がどれだけ儲かったか(あるいは赤字を出したか)がわかるのです。

一方、お店でお金を払ったお客さんの中にも、その支払いについて家計簿やお小遣い帳などに記録する人がいるはずです。

お店もお客さんも、こうした一連の作業によって、商売や生活のあり方を見直すことができます。

正しく記録された会計データは、対外的な信用にもつながります。

たとえば金融機関が融資相手の返済能力を審査するときは、過去の収支がひとつの判断材料になります。投資家が株式を買うかどうかを判断するときも、その会社の会計データは重要な情報です。

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