ミネベアミツミの貝沼会長「日本を守る」と芝浦電子に友好的TOBを宣言、台湾ヤゲオの同意なき買収にホワイトナイトで対抗

「日本の優れた技術を守る。そういう意味でも、極めて大きな意義がある」
総合部品メーカーのミネベアミツミが4月10日に開いた記者会見。貝沼由久会長CEOはそう熱弁を振るい、温度センサー大手の芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)を宣言した。4月23日に開始し、完全子会社化を目指す。
芝浦電子は台湾の電子部品大手・国巨(ヤゲオ)から、「同意なきTOB」の提案を受けている。そこにミネベアミツミがホワイトナイトとして対抗する。
会見には芝浦電子の葛西晃社長も同席し「シナジー効果の実現性が高い」と賛同を表明。会見のフォトセッションでは貝沼会長と芝浦電子の葛西社長らが、がっちりと手を合わせて相思相愛ぶりをアピールした。
貝沼会長は異なる製品や技術同士を掛け合わせ、新たな付加価値を生み出す「相合(そうごう)」戦略を掲げる。2009年の経営トップ就任後、約30件のM&A(買収・合併)を手がけ、事業領域を拡大。「部品のユニクロ」と例えられる総合メーカーを築き上げ、2024年度は売上高1兆5000億円、営業利益930億円を見込む。
過去の買収と比べて割高
その辣腕ぶりからニデックの創業者・永守重信氏と並び立つ存在として「西の永守、東の貝沼」とも称される。ただ、今回の芝浦電子へのTOBは「黒字化率100%」という過去のM&Aと異なる点がある。
それは買収価格だ。貝沼会長は「高値づかみは絶対にしない」と、上限額を営業利益の10倍としてきた。既存事業と「相合」できる会社を吟味し、無理のない値段で買うという必勝パターンを確立してきた。
しかし、芝浦電子の買い付け価格は1株4500円。総額で約675億円かかる見込みなのに対し、同社の営業利益は直近2023年度で51億円にとどまり、上限額を超えている。
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