
10月3日、ヤゲオが芝浦電子に対するTOBで買付予定数に達したと発表した。ホワイトナイトとして名乗りをあげたミネベアミツミ(中央・貝沼由久会長)だったが、TOB価格の引き上げ合戦に撤退を余儀なくされた(上写真:ヤゲオのホームページ、下写真:記者撮影)
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温度センサー大手の芝浦電子を巡る争奪戦が10月3日、事実上決着した。「同意なき買収」を仕掛けた台湾・国巨(ヤゲオ)に対し、ホワイトナイトとして参戦したミネベアミツミ。TOB(株式公開買い付け)価格を当初の1株4300円から7130円まで吊り上げたヤゲオが過半数超の応募を得たと発表した。
1株6200円を提示したミネベアミツミのTOBが9月11日に不成立となり、芝浦電子はヤゲオへの賛同に転じていた。同社は軍事転用できる技術を有するため、外資が取得するには外為法上の承認を得ねばならない。その審査に時間を要し、およそ半年に及ぶ異例の長期戦となった。
日本と台湾を代表する電子部品メーカー同士の激突は、何を残したのか。勝敗を分けたポイントは。M&A(合併・買収)の実務経験が豊富なM&Aキャピタルパートナーズ(MACP)辻井武弘執行役員と、企業買収の動向を研究するレコフ・澤田英之リサーチ部長に見解を聞いた。
辻井武弘・MACP執行役員
「ヤゲオは採算度外視で勝ちきった」
最終価格の1株7130円で、買収総額は約1100億円となる。芝浦電子は約120億円のネットキャッシュを保有するため、ヤゲオの実質的な負担額はざっくり言って1000億円を切るぐらい。
このプライスは客観的に見て高い。芝浦電子の業績予想によると、今期の純利益は35億円、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は約80億円。PER(株価収益率)は30倍超、EBITDAマルチプルは12~13倍程度の水準だ。
ミネベアミツミは限界を出し切った
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