第1に、大学進学には費用がかかる。
まず学費だ。文部科学省がまとめた「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の年間授業料は約96万円。これに入学料、施設整備費、実験実習費などを足すと、約148万円になる。
また、一人暮らしをすれば家賃や生活費がかかる。そして、私立の中学・高校や塾に通えば、さらに費用がかかる。
こうした費用をいつ取り戻せるかを把握するために、D欄の数字が年齢階層が上がるにしたがってどのように推移するかを見ておこう。
D欄の数字は、40代の中頃には1000万円を超える。したがって、仮に大学に進学するための費用が1000万円であり、これを無利子の借入で賄うことができれば、40代の中頃までに高卒との賃金格差で返済し、完済できることになる。
利子を考慮すると、なかな逸失利益を取り戻せない
以上では、利子率はゼロと考えた。しかし、現実には無利子融資は存在しない。
日本政策金融公庫が提供している「国の教育ローン」は利率が低いが、借入額に限度がある。したがって、大学進学費用を借り入れでカバーするためには、どうしても民間の金融機関による教育ローンを利用せざるをえなくなる。
利子率がプラスである現実の世界では、以上で述べたことはどう変わるのか。この場合に教育という「投資」の収益性を考えるには、将来の時点における収益について現在価値を計算する必要がある。



















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