反旗を翻した姉に頭を痛めるフィリピン大統領、ドゥテルテ逮捕でマルコス一家にも深い亀裂
そう淡々と話し、「誰も信じないけれど、普通の人になりたいともがいてきた。でも、だめみたい。これからも何が起きるかわからない」と、政治から距離を置きたい思いを口にした。
それでは何がしたいのかと聞けば「子供向けの映画をつくりたい」と答えた。
当時50歳。落ち着いた語り口で、自ら置かれている状況を十分に認識する思慮深い女性といった印象を受けた。
よくも悪くも「弾けた」姉
ところが2019年に上院選に当選し、2022年に一家がマラカニアンに復帰すると、私の抱くイメージは大きく変わった。よくもわるくも「弾けた」感じがするのだ。
インスタグラムなどのSNSで「Super Ate(姉)」と名乗ってさまざまな動画を拡散し、ときに弟の政策に異を唱え、中国との友好を訴えた。財務省がコメ不足を理由に関税削減を検討した際は、農民の座り込みに参加した。
マルコスという特別な姓を持ちながら、政権にも物申す上院議員として存在感を示してきた。
そのアイミー氏の足下が揺らぐきっかけは、次期大統領選に意欲を見せるマーティン・ロムアルデス議長率いる下院が2023年以降、サラ氏に圧力をかけ始めたことだった。姉妹のいとこであり、マルコス陣営の中心人物である。
下院は2023年5月、ボンボン・サラの「ユニチーム」結成をアイミー氏とともに仲介したグロリア・アロヨ下院議員(元大統領)を下院上級副議長職から降格させた。これに反発したサラ氏は所属していた政党ラカスCMDを離党した。同党総裁はロムアルデス氏だ。
その後、下院は副大統領府などの機密費が不正に使用されたとして、予算を削減したうえでサラ氏や側近を召喚して牽制を強めた。
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