ドゥテルテ前大統領逮捕から1カ月、現職大統領の支持率低下、5月中旬の中間選挙を前に分断深まるフィリピン社会

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マルコス家は被害家族から多くの訴えを起こされたが、ボンボン氏はいまも「戒厳令は必要だった」との立場を表明する。2022年の大統領選挙では、マルコス陣営によるSNS上の対立候補への誹謗中傷が問題視されていた。

ドゥテルテ・マルコス両陣営のいずれ劣らぬご都合主義。「どの口がいう」状態である。

サラ氏はハーグで拘束中の前大統領と面会後、「父がフィリピンに帰りたいとの希望を口にしたので、もし帰国すれば、ニノイ・アキノと同じ運命をたどると警告した」と話した。

ヒトラーかニノイ・アキノか

マルコス独裁政権下に亡命先から帰国したマニラ国際空港で暗殺された元上院議員であるアキノ氏について、サラ氏は昨年11月に「マルコス家が殺した」と発言していた。

これを受けてクレア・カストロ大統領府報道官は記者会見で「前大統領がニノイ・アキノと自身を比べるのを聞いたことはない。ヒトラーと比べたことはあるが」と述べた。

ドゥテルテ氏が大統領就任直後の2016年9月に「ヒトラーの大虐殺のようにフィリピンの麻薬中毒者を何百万人と殺せれば幸せだ」と発言し、非難を浴びて謝罪したことを皮肉ったのだ。

どっちもどっちの悪態合戦が事態をさらに混迷させているようにみえる。

柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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しばた・なおじ

ジャーナリスト。元朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経る。著書に「ルポ フィリピンの民主主義―ピープルパワー革命からの40年」、「バンコク燃ゆ タックシンと『タイ式』民主主義」。

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