
世界最強のマクロ経済学者スティグリッツは、トランプ大統領をどう思っているのだろうか(写真:makoto.h/PIXTA)
ノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・E・スティグリッツが現代社会における「自由」の本質を問い直し、新たな資本主義のあり方を提示する新著『スティグリッツ 資本主義と自由』(The Road to Freedom:Economics and the Good Society)が上梓された。本書で氏は、これまで当たり前と思われていた私たちの自由観に鋭く切り込み、今日の格差社会や政治的分断の根本を解き明かそうとする。
「真の自由とは何か」
「より良い社会にしていくにはどうすればいいのか」
その根源的な問いを経済学者として、また政策実務者としての視点から鋭敏に投げかけるスティグリッツは、いまトランプ政権をどう見ているのか。新著を補助線にしながらその考えを明らかにしていく。
最強の経済学者スティグリッツ
ジョセフ・E・スティグリッツは現代における世界最強のマクロ経済学者と断言していいだろう。
幼少から数学に堪能であり、当初は物理学に興味を持っていたが、社会の不平等を目の当たりにし経済学を志すことにしたという。まさにこれが氏の原点であり、いまなお探求を続ける動機となっている(このあたりは新著の序文にも詳しい)。
現代の経済学は数理モデルを多用する。数理的な経済理論に堪能で経済原理の基本的なメカニズムが手に取るようにわかる氏であるが、同時にその限界を認識するのも容易だっただろう。従来の経済モデルの延長にある新しいモデルを作ったかと思えば、過去のモデルの不備を徹底的に批判することもあった。
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