傘寿を牢獄で迎えたアジアの元指導者2人/アウンサンスーチーとドゥテルテ/キャラは違えど、いまも国家の命運握る

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ともに高齢で持病を抱える両者の年齢はすでに両国の平均寿命を超えているが、出獄できる見通しは立たない。

ドゥテルテの保釈を認めれば、再び出廷する保証はないし、政治的な混乱も予想されることからICCがこれを認める可能性は低いとみられる。ミャンマーではクーデターを主導した国軍司令官ミンアウンフラインが権力の座にある限り、アウンサンスーチーを自由にすることはないだろう。

「殉教者」として母国政治に影響を与える可能性

獄中で果てれば確実に「殉教者」となり、政治社会がさらなる激動に突入する引き金となるかもしれない。ビルマではアウンサンの暗殺後、英国から独立したものの、統合の象徴が失われたことで民族対立が深まり、今日の内戦状態につながる混乱の遠因となった。

フィリピンでは1983年に元上院議員だったニノイ・アキノの暗殺後、反政府運動が盛り上がり、マルコス独裁政権の崩壊につながった。

今後、両国の権力構造がどのように変化し、両者の存在がどのようにかかわるのか、いまだ見通せない。しかし、2人がそれぞれの国の行く末のカギを握り続けることは間違いない。

柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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しばた・なおじ

ジャーナリスト。元朝日新聞記者(論説副主幹、アジア総局長、マニラ支局長、大阪・東京社会部デスクなどを歴任)、近畿大学教授などを経る。著書に「ルポ フィリピンの民主主義―ピープルパワー革命からの40年」、「バンコク燃ゆ タックシンと『タイ式』民主主義」。

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