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制度が拓く再生医療―薬機法と安確法の10年と課題/条件・期限付き承認を受けた製品は6つ、そのうち「失効」した2製品の意味

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再生医療の安全性を監視する役割の「安確法」だが、施行後も違法行為が後を絶たず、厚労省が注意喚起を出している(編集部撮影)

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2006年、山中伸弥(京都大学)が、あらゆる細胞の元となる幹細胞であるiPS細胞を発見(体細胞からiPS細胞作製に成功)、わずか6年後の12年にノーベル賞に輝いた。輝かしい未来、再生医療立国を実現する日本の姿も想起された。
13年、私は『iPS細胞はいつ患者に届くのか』(岩波書店)と問うた。それから10年以上が経過した今、再度その答えを探している。連載第一回では、日本の再生医療を切り開いてきたフロントランナーの足跡を追う(敬称略)。

2025年、日本の再生医療が新たな局面を迎えた。iPS細胞由来の最先端治療、クオリプスの心筋細胞シートと住友ファーマのドパミン神経前駆細胞が、製造販売承認を目指して申請された。従来の新薬のように大規模臨床試験は行われず、少数例の安全性データに基づく、いわば“仮免許”での挑戦だ。

この挑戦を支えるのが、日本独自の制度設計である。14年に施行された薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は製品自体をチェックし、安確法(再生医療等の安全性の確保等に関する法律)は臨床現場での提供行為を監視する。研究段階から市販後まで、両者が補完的に機能することで、安全性と有効性を一貫して担保できる仕組みだ。

薬機法は、従前の薬事法(1960年制定)で扱われてきた医薬品や医療機器に加えて、新たに再生医療等製品というカテゴリーを新設。iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来細胞や遺伝子改変細胞などは、ここに分類される。これらは製品ごとに工程や原料が異なり、規格化された工業的大量生産に乗らず、個体差やロットによる差、長期的な不安定性への懸念などから、従来の枠組みにはなじまなかった。

再生医療に設けられた「仮免許」

こうした背景を踏まえ、再生医療実用化の促進に向けて導入された目玉が、「条件・期限付き承認」制度だ。それまでの新薬審査は、無作為化試験で示された有効性という強いエビデンスが承認の前提だった。これに対して新制度では、一定の安全性が確認され、有効性が推定できた段階で早期承認され、「条件」(全例調査など)や「期限」(通常5〜7年)が付される。

この“仮免許”期間中に、市販後データ提出や厳格な観察が義務付けられ、期限内に十分なエビデンスが得られなければ承認が取り消されるが、これまでにそうした事例は2件ある。

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