〈影響はいかに?〉自由診療の再生医療で患者が死亡、クリニックだけでなく細胞加工のコージンバイオにも厚労省が緊急命令

研究開発費が先行して赤字が多いバイオベンチャーの中で、安定した収益を上げてきたのが再生医療関連を手がけるコージンバイオだ。2024年4月に東証グロース市場に上場している。
そのコージンバイオが8月29日、厚生労働省から「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づいて行政処分を受けた。週明け9月1日の株価は前週末終値から一時2桁減と暴落。翌2日も値を下げた。有望な市場テーマ「再生医療」に対して、投資家が疑心暗鬼になり始めている。
処分は都内のクリニックで再生医療を受けている患者が死亡したことを受けたものだ。外国籍の50代女性が自由診療として本人の脂肪由来の幹細胞を投与されている際、急変して死亡した。
死亡の原因はまだ明らかになっていないが、治療を実施した「東京サイエンスクリニック」(8月22日以前の名称は「ティーエスクリニック」)に対し、厚労省は治療提供を一時停止させる緊急命令を出した。
細胞を加工したコージンバイオは、同クリニックに対する関連細胞の製造の一時停止を命じられた。再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令は初の事例だという。
「医療ツーリズム」が国内の再生医療市場を拡大
コージンバイオは1981年、丸大食品出身の中村孝人社長が前身の会社を設立。人や動物の細胞を増殖させることを目的とした細胞培養用培地の開発・製造・販売や、細胞加工物の製造受託などを展開。微生物事業では、コロナやインフルエンザの抗体検査キットも販売している。

業績は堅調だ。2025年3月期は売上高が前期比9.1%増の52億円、営業利益が同66.1%増の9.9億円で増収増益。2026年3月期も増収増益を予想している。自由診療による再生医療を日本で受けたい「医療ツーリズム」が増えていることが大きい。
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